2015年6月2日火曜日

RAIDにおけるリスク

RAIDを構成する場合のリスクについて考える。

メリット・デメリットという点ではなくあらゆる状況でのRAIDのリスクだけの記述であることに注意。

リスク1 書き込み中に突然電源供給が止まった場合
RAID5やRAID6ではパリティ計算と同時にデータの読み書きを行う。
もしパリティ計算中に電源供給が絶たれるとデータに不整合が生じアレイが破損する。

リスク2 RAIDアレイ復旧(リビルド)中のリスク
構成HDDの1台まで破損に耐えられるアレイの中の1台が壊れた場合には該当HDDを交換してリビルドを行う。
リビルドには非常に時間がかかり、リビルド中に他のアレイ構成HDDが破損してしまうと復旧不可能に陥る。

リスク3 RAIDカードの破損によるリスク
ハードウェアRAIDでアレイを構築していた場合、RAIDカードの破損時に同型のRAIDコントローラーを搭載したRAIDカードでなければ大抵はアレイを認識することが出来ない。
特にハードウェアRAID機能を有するHDDケースでは同型同製品が必要となる場合が多い。
ミラーリングのRAID1でも同様のリスクが存在するが、メーカーによってはミラーの片側の単体使用が可能であったりする一方で、違うRAIDカードでは全く認識できない場合があるため一概には言えない。

リスク4 低価格帯HDDのエラーリカバリーによる復旧を要する状態化
低価格帯HDDでは不良セクタなどのトラブルが発生した場合にエラーリカバリーを行うため、一時的にコントローラーから認識されない状況になる。
その場合、RAIDアレイから一時的にHDDが外れた状態となり、再度認識されたときに復旧が必要となる。
HDDの復旧が行われていないアレイはHDDの破損耐性が無い状態となり、また復旧にはHDDに大きな負荷がかかる。

リスク5  非推奨台数の同時使用によるHDDの障害リスクの上昇
HDDには推奨の同時搭載台数が設けられている場合がある。
例えばWD RedとWD Purpleでは8台まで、WD Red Proでは16台までとなっている。
これは振動ノイズによるHDDの寿命低下や故障率上昇を踏まえての台数と考えられる。
デスクトップ向けの安価なハードディスクは原則単体での利用で設計されているため、
複数台使用を前提とするRAIDでの運用は推奨されない。


これらのリスクを留意の上で安価にRAID構成を行うのであれば下記を踏まえること
  • HDDは可能な限り高品質なものを採用(できれはWD Purple以上)
  • データの書き込み時に電源トラブルの起こらないよう高品質電源の採用やUPSでの安全の確保
  • パリティを用いないRAID1(ミラーリング)、もしくは安全なRAID-Z(容量を最大限に活用)を使用し1項目のリスクを回避
  • RAIDカードを使用するのであれば保証期間の長いものを用い予め耐用年数を決めておくか、同一製品の予備を用意しておく。
  • ソフトウェアRAIDのミラーリングであれば書き込み速度は非常に遅いが項目1,2,3,4のリスクを押さえることが出来ると考えられる。
状況にもよるが、個人ストレージならば無理にRAIDを組まずに差分での自動バックアップや、定期的なバックアップの方がリスクは少ないと思われる。
もし容量を最大限有効に活用したいのであれば上記リスクを覚悟の上で使うか、
(予算との折り合いも含め)可能な限りのリスクコントロールの上での運用を推奨する。

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